年収から手取りを計算する方法と社会保険料・税金の内訳
2026.09.28 更新 · 5分で読めます
年収から手取りを出すには、健康保険料・厚生年金保険料などの社会保険料と所得税・住民税を差し引きます。2026年度の料率と税制で、年収300万円から800万円までの手取りの目安と、年収400万円の内訳を具体的に解説します。
手取り計算ですぐに計算する求人票や給与明細に書かれている「額面」は、税金や社会保険料が引かれる前の総支給額です。実際に口座に振り込まれる「手取り」は、そこから社会保険料と所得税・住民税を差し引いた金額になります。この記事では、2026年度(令和8年度)の料率と税制をもとに、年収から手取りを計算する流れと、差し引かれる金額の内訳をまとめます。
2026年度は、令和8年4月分から子ども・子育て支援金の拠出が始まり、所得税では令和8年度税制改正で基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられました。どちらも手取りに関わる変更です。
額面から差し引かれるもの
会社員の給与から差し引かれる主なものは、次の2種類です。
- 社会保険料:健康保険料、介護保険料(40歳以上65歳未満)、子ども・子育て支援金、厚生年金保険料、雇用保険料
- 税金:所得税(復興特別所得税を含む)、住民税
社会保険料は会社と本人が負担を分け合い、本人の負担分が給与から引かれます。税金は、社会保険料などの控除を差し引いた後の所得に対してかかります。
2026年度の料率
協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入する会社員の場合、2026年度の料率は次のとおりです。本人の負担は、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金・厚生年金が料率の半分、雇用保険は表の労働者負担の率です。
| 項目 | 料率 | 対象となる金額 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 都道府県ごと(東京都 9.85%) | 標準報酬月額・標準賞与額 |
| 介護保険料 | 1.62% | 標準報酬月額・標準賞与額 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 標準報酬月額・標準賞与額 |
| 厚生年金保険料 | 18.3% | 標準報酬月額・標準賞与額 |
| 雇用保険料 | 0.5%(労働者負担) | 毎月の給与・賞与 |
標準報酬月額は、毎月の給与を一定の幅で区切った等級の金額です。原則として4月から6月の給与の平均で決まり、健康保険は58,000円から1,390,000円、厚生年金は88,000円から650,000円の範囲に上限と下限があります。賞与は1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に料率を掛け、健康保険は年度の累計573万円、厚生年金は1か月あたり150万円が上限です。
所得税は課税所得に5%から45%の税率を掛けた額に復興特別所得税(2.1%)を加えたもの、住民税は課税所得の10%(所得割)に均等割と森林環境税をあわせた年5,000円を加えたものです。
手取りの計算手順
1年分の手取りは、次の順番で計算します。
1. 社会保険料 = 標準報酬月額 × 料率 ÷ 2 を12か月分 + 賞与の保険料 + 雇用保険料
2. 所得税 = (給与所得控除後の金額 − 社会保険料 − 基礎控除など) × 税率 − 控除額 → × 102.1%
3. 住民税 = (給与所得控除後の金額 − 社会保険料 − 基礎控除など) × 10% − 調整控除 + 5,000円
4. 手取り = 額面年収 − 社会保険料 − 所得税 − 住民税
社会保険料は所得税・住民税の計算で全額が控除されるため、先に社会保険料を求めてから税金を計算します。令和8年分の所得税の基礎控除は、合計所得金額が489万円以下なら104万円、655万円以下なら67万円、2,350万円以下なら62万円です。一方、住民税の基礎控除は43万円で、所得税より控除が小さいため、同じ年収でも住民税の課税所得のほうが大きくなります。
年収別の手取りの目安
東京都の協会けんぽに加入する40歳未満、配偶者・扶養親族なし、賞与なし(年収 ÷ 12 を月給とする)の場合の概算です。
| 年収 | 社会保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り(年) | 月あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 457,728円 | 26,600円 | 115,600円 | 2,400,072円 | 200,006円 |
| 400万円 | 598,956円 | 57,200円 | 175,500円 | 3,168,344円 | 264,029円 |
| 500万円 | 723,144円 | 91,600円 | 243,000円 | 3,942,256円 | 328,521円 |
| 800万円 | 1,164,960円 | 434,400円 | 453,000円 | 5,947,640円 | 495,637円 |
年収800万円では、月給(年収 ÷ 12)が厚生年金の最上位の等級にかかり、標準報酬月額が上限の650,000円で止まります。そのため、年収が増えても厚生年金保険料はそれ以上増えません。
年収400万円の内訳
年収400万円の場合、月給(年収 ÷ 12)から決まる標準報酬月額は、健康保険・厚生年金とも340,000円です。協会けんぽの保険料額表(東京都)では、本人負担は健康保険料が月16,745円、子ども・子育て支援金が月391円、厚生年金保険料が月31,110円です。
| 項目 | 年額 |
|---|---|
| 健康保険料 | 200,940円 |
| 子ども・子育て支援金 | 4,692円 |
| 厚生年金保険料 | 373,320円 |
| 雇用保険料 | 20,004円 |
| 所得税 | 57,200円 |
| 住民税 | 175,500円 |
| 控除合計 | 831,656円 |
所得税は、給与所得控除後の金額2,760,000円から社会保険料598,956円と基礎控除104万円を引き、1,000円未満を切り捨てた課税所得1,121,000円に税率5%を掛けて、復興特別所得税を加えた後に100円未満を切り捨てた57,200円です。住民税は、基礎控除43万円で計算した課税所得1,731,000円から求めた所得割170,500円に、均等割と森林環境税の5,000円を加えた175,500円です。手取りは4,000,000円から831,656円を引いた3,168,344円です。
手取りが変わる主なポイント
同じ年収400万円でも、条件によって手取りは変わります。
- 40歳以上65歳未満になると介護保険料(年33,048円)が加わり、手取りは3,140,496円になります。
- 配偶者控除の対象となる配偶者がいると3,223,244円、扶養親族が2人いると3,278,144円、両方なら3,332,044円です。
- 健康保険料率は都道府県で異なり、大阪府(10.13%)では健康保険料が206,652円、手取りは3,163,432円です。
- 月給30万円・賞与年60万円(額面年収420万円)の場合、賞与にも社会保険料がかかり、手取りは3,328,920円です。
また、住民税は前年の所得をもとに翌年の6月から給与から引かれるため、社会人1年目は原則として住民税がかかりません。2年目から住民税が引かれ始め、手取りが減ったように感じるのはこのためです。
実際の手取りと違いが出る理由
ここで紹介した金額は、年末調整と同じ方法で1年分をまとめて計算した概算です。毎月の給与から引かれる所得税は源泉徴収税額表による概算額で、年末調整で精算されます。社会保険料は4月から6月の給与で決まる標準報酬月額にもとづくため、残業代などで月ごとの給与が変わると実際の保険料とずれることがあります。
健康保険組合に加入している場合は料率が異なり、生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除などがあれば税額は少なくなります。住民税の均等割は、自治体によって独自に上乗せされていることもあります。
まとめ
- 手取りは、額面から社会保険料(健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金・厚生年金・雇用保険)と所得税・住民税を差し引いた金額です。
- 東京都・40歳未満・扶養なしの場合、年収400万円の手取りの概算は3,168,344円、月あたり264,029円です。
- 年齢や家族構成、都道府県、賞与の有無によって手取りは変わります。
計算結果は参考値であり、税務上の助言ではありません。正確な金額は勤務先や税務署、市区町村にご確認ください。
年収または月給を入れるだけで、社会保険料と税金の内訳つきで手取りを確認できます。手取り計算で、ご自身の条件に合わせて計算してみてください。